北田直俊監督作品「イヌ」とは人間に翻弄され、さすらいの果てに交通事故に遭い死んでしまった一匹のイヌが主人公の「カルトになってしまった映画」である。彼(イヌ)は悪魔の導きによって人間を血祭りにあげるため、カカシとして生まれ変わり旅をする。その旅の途中、心優しい少年との出会いにより少しずつ「生きる苦痛」を克服していくがバケモノの姿をした異端はいつの世にも抹殺される運命にあるという、とんでもなくそそる映画である。何故か分からないけど今、紹介しておきたかった。気持ち的に。 「イヌ」を観て何も感じない人と話す言葉を僕は持ち合わせておりません。現時点で北田直俊はこの1作品しか残していない。彼はこの一本で自主映画の絶望と希望を描ききってしまった。こんなにも「映画」である作品が人知れず地下に埋もれてしまって多くの人に観てもらえずにいるって何なんだろ。同じ境遇にあるモノなんていたるとこに存在してるけど。この前たまたま観る機会があって部屋のVHSスペースを探して観てみたらやっぱ太刀打ち出来ない程凄くて。高校の時に観て感じた「希望」という感情が今も変わらず沸き上がって来た。自分はあの時と思考や趣向が変わってきてると思うけど、「イヌ」を面白いと思う気持ちは変わってなかったし「やらなければ」という強迫観念じみたものをより一層感じた。8年の歳月をかけて監督自らの肉体労働により1800万円を溜め、その殆どを監督一人で作り上げた究極の自主実験劇映画。後半に浮かび上がる特殊カラー(完成されたフィルムをネガにするという映画史上、誰もやらなかった手法により出来上がっている)は観る者を挑発し、ひたすら詩情的。人間の大半は屑であり、その中でいくらもがいても救われそうでも、やっぱりひたすら報われないって事を知らしめてくれる内容に涙しそうになります。ラストシーンの不快さは他の追随を許さない。歪で綻びだらけだけど、そんなのどーでもいいんです。ホントどーでもいいんです。圧倒的に面白いんだから。
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