千草は十七歳。ひかりサーカスのマスコット的存在。しかし千草にとっては、このことが不満である。「もう大人である」という気持と、洋三を密かに恋しているからだ。洋三は、そんな千草の気持を知らずに、いつまでも千草を子供あつかい。千草は胸の傷みを空想にたくし、日記を書き、子ぞうのキャビィに聞かせるのである。「×月×日、洋三さんと京都で逢いました。許されない恋、人目をしのぶ恋だから……」。現実生活のなかでも千草は洋三の指導で空中ぶらんこの訓練をはじめた。しかし洋三への思いがあまって転落、入院するはめになってしまった。サーカスは千草ぬきで開幕。退院した千草は思いっきり大人っぽいかっこうで街を歩き、そんな千草に声をかけたのが修であった。ところが洋三は千草には見むきもしない。実は洋三には久子という恋人がいたのである。ある日、千草はサーカスのテントにもぐりこもうとする男...
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