他人の血を輸血された娘…スズランに裏切られた母が涙に秘めた死化粧 葬儀屋『けやき葬祭』の営業レディー・喜佐久仁子（浅野ゆう子）が詰める総合病院内で、輸血ミスによる死亡事故が発生した。久仁子が葬儀一切を担当することになったこの死亡者は、保険の仕事をしていた飯村里子（藤枝真琴）。現場を調べた警察は、心臓外科医の赤井初音（根岸季衣）が輸血パックのラベルを確認しなかったとみて事情聴取を始めた。 病院理事長の娘婿で事務長の神崎（升毅）は、自分が初音をスカウトした手前、戸惑いを隠せない。その行動をよく知る救急外科医の百瀬（村上弘明）は、初音がミスをするはずはない、と断言。だが、輸血パックが里子の体と繋がったままだったことから、警察は“事件”の可能性はまずないとみた。 葬儀が終わり初七日が近づいたある日、飯村家を訪ねた久仁子は、焼香にきた“メル友”久保田美鈴（鈴木薫）の話から、里子が５年程前から不倫をしていた、と知った。今回の“事故”が医療ミスではないとにらんでいた久仁子は、不倫相手が何かを知っているとみて里子の携帯に着目する。だが、里子の母・豊子（馬渕晴子）は、輸血管理室の検査技師・堀部瑞紀（滝沢涼子）が家に焼香にきたあと携帯がなくなったと話した。 ところが、その日、無断欠勤した瑞紀が飛び降り自殺したことが判明。この瑞紀のロッカーに消えた里子の携帯があり、しかもメモリーが全て消去されていたことから、２つの事件の関連が明白になった。 メル友・美鈴のパソコンに送信されていたメールのファイルを調べた久仁子は、里子の不倫相手、つまり犯人が病院の関係者だと察知。犯行に気付き口止め料を要求してきた瑞紀を逆に利用し、里子の携帯のメモリーを消去させた揚げ句、自殺に見せかけて殺害したとみた。 まもなく、葬儀用の案内ポスターの貼り替えの話を耳にした久仁子は、犯人が別の血液パックに里子のラベルを貼って輸血させ、騒ぎになる直前に正しいラベルに貼り戻した、と気付いた。たまたま看護婦がいなかったため自分で輸血した初音は、貧乏クジを引く形で“医療ミス”の当事者になってしまったのだ。 久仁子が一番怪しいとにらんだのは、５年前、何人かの女と不倫していたと告白している百瀬。だが、百瀬には事件当時オペをしていたという完璧なアリバイがあり久仁子の推理は空振り。 そんな中、久仁子は、進路で悩む神崎の息子と会ったことから、思わぬ事実に気付いて──。