御厨藩家老小此木勘解由御典医養玄院卜栄、遠州屋等一味は十年前にお家乗取りを策し、オランダ金貨十万両の保管に当っていた南蛮御用与力榊主水を毒殺したが、横領した金貨を江戸に埋蔵した者が殺された為に、それを書き残してある図面を探していた。彼等は榊の枝に結んだ呼び出し状で根岸の遠州屋の寮に呼び出された。榊は主水の姓に通じ、その日は主水の命目に当ると気附いた時主水の忘れ形身左近と名乗る白覆面の侍が現れ、卜栄を斬ったが続いて現れた黒覆面の侍に連れ去られた。二人は主人の遺児右近、左近の兄弟で、右近は証拠を掴んで父の寃罪を晴すことを望み、左近は直接刀に訴えることを望んだ。小此木一味は与力山田仙之助を抱込み兄弟を亡き者にせんとした。右近は轡屋丹左が例の図面の半分を持っているのを知り、居酒屋の酌婦お瀧と企んで、丹左の娘環と弟左近を近づけ、左近と環は互に心ひかれる様になった。左近は兄の態度に不満を感じ小此木一味の者を斬ったが、手裏剣を落したのに気づかなかった。左近に想を寄せる芸人お千勢は嫉妬のあまりに詮索に来た仙之助に手裏剣の持主を教えたが、左近と環はお瀧にかくまわれた。遠州屋は丹左が図面を持っているのを知り、丹左を斬って図面と環を攫った。榊兄弟は根岸の寮へ迫ったが遠州屋は小此木に斬られ、図面と環は息子千太郎に攫われた後だった。二人は仙之助を仆して図面を奪い、後悔したお千勢の働きで環と残りの半分の図面も取り返した。父の寃罪を晴らし、遺封を継ぎに九州へ向う右近とお瀧を、左近と環は仲良く見送った。
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